口角炎とは
口角炎は、唇の両端(口角部)に炎症が生じる疾患です。口角部に亀裂や赤み、腫れなどの症状が現れ、口を開ける際に痛みを伴うことが特徴です。口角部は唾液にさらされやすく、さらに、口を開閉する際に物理的な刺激を受けやすい部位です。そのため、一度炎症が起きると治りにくく、慢性化しやすい傾向があります。
子どもから高齢者まで幅広い年齢層で発症しますが、特に高齢者や免疫力が低下している方に多く見られます。適切な治療により改善が期待できますが、再発しやすい疾患でもあるため、原因を特定し予防することが重要です。
口角炎の原因は?
口角炎の発症には複数の要因が関与しています。
物理的刺激
口角を舐める癖や、よだれによる持続的な湿潤状態が原因となります。入れ歯が合わない場合や、口角のしわに唾液が溜まりやすい状態も発症リスクを高めます。また、大きく口を開ける動作の繰り返しも、口角への負担となります。
栄養不良
ビタミンB2、ビタミンB6、ニコチン酸アミド、亜鉛、鉄などの栄養素は皮膚や粘膜の健康維持に重要な役割を果たしており、不足すると口角炎を発症しやすくなります。
感染症
免疫力が低下している時に、カンジダなどの真菌やブドウ球菌などの細菌に感染することで口角炎が生じます。体調不良時や疲労が蓄積している際に発症しやすくなります。
また、アトピー性皮膚炎を持つ方や、加齢により皮膚のバリア機能が低下している方は、口角炎を発症しやすい傾向があります。皮膚自体が弱っていると、わずかな刺激でも炎症を起こしやすくなるためです。
口角炎の症状
- 口角部の赤みや腫れ
- 口角に亀裂や切れ目ができる
- 口を開けると痛みや出血がある
- かさぶたや白い膜が形成される
- 口角部のただれやびらん
初期は口角部の軽い赤みから始まり、進行すると亀裂が深くなり出血を伴うようになります。食事や会話で口を開ける際に痛みが生じるため、日常生活に支障をきたすことがあります。
症状は両側の口角に同時に現れることが多く、治りかけては再び悪化を繰り返す慢性的な経過をたどることもあります。二次感染により膿が出たり、周囲に炎症が広がったりすることもあるため、早期の治療が大切です。
口角炎の治し方
治療の際は、原因に応じた適切な方法を選択します。
外用薬
保湿剤を使用して口角部の乾燥を防ぎ、皮膚のバリア機能を回復させます。炎症が強い場合はステロイド外用薬を使用し、症状の軽減を図ります。カンジダ感染が疑われる場合は抗真菌薬、細菌感染が認められる場合は抗菌薬の外用薬を使用します。これらの薬剤は症状や原因に応じて使い分けや併用を行うことで、より効果的な治療が可能です。
内服薬
ビタミンB群や鉄剤などの栄養補充療法を行い、栄養不足を改善します。原因となる基礎疾患がある場合は、その治療も並行して行うことが重要です。






