マラセチア毛包炎とは
マラセチア毛包炎は、皮脂を好むマラセチア菌が毛穴で増殖することにより起こる炎症性の皮膚疾患です。背中や胸、肩、上腕などの皮脂分泌が多い部位に、ニキビに似た赤いぶつぶつが多数現れます。
マラセチア菌は健康な人の皮膚にも常在している真菌の一種で、通常は害を及ぼしません。しかし、特定の条件下で異常増殖すると毛包に炎症を引き起こします。
夏場など汗をかきやすい時期に発症しやすく、10代から30代の若い世代に多く見られます。見た目がニキビと似ているため誤診されやすいですが、原因菌が異なるため治療法も異なります。
マラセチア毛包炎の原因は?うつる?
マラセチア毛包炎は、皮脂や汗を栄養源とするマラセチア菌が毛包内で異常増殖することで発生します。
発症のメカニズムとして、高温多湿な環境、過剰な皮脂分泌、多汗、免疫力の低下などが挙げられます。スポーツや運動で汗をかいた後、そのまま放置すると発症リスクが高まります。また、ステロイドの外用薬を使用するなどしてマラセチア菌が増殖し発症することもあります。
マラセチア菌は誰の皮膚にも存在する常在菌であり、人から人へうつることはありません。家族やパートナーへの感染を心配する必要はなく、プールや温泉などの共用施設でも感染することはありません。
マラセチア毛包炎の症状
軽度
- 直径2~3mm程度の小さな赤いぶつぶつ
- 毛穴に一致した発疹
- 軽いかゆみを伴う
- 胸や背中に散在する
中程度
- ぶつぶつの数が増加
- かゆみが強くなる
- 皮膚の乾燥
- 皮膚が脂っぽくなる
重度
- 広範囲に発疹が拡大
- 腫れや化膿を伴う
- 強いかゆみや痛み
- 掻き傷による二次感染
症状は体幹部を中心に現れ、顔面には少ない傾向があります。汗をかいた後に悪化しやすく、夏場に症状が強くなることが特徴です。
マラセチア毛包炎と
ニキビの見分け方
マラセチア毛包炎とニキビは見た目が似ていますが、いくつかの違いがあります。
| マラセチア毛包炎 | ニキビ | |
| 大きさ | 均一で同じ ような大きさ |
大小さまざまで不揃い |
| 好発部位 | 背中、胸、肩、上腕 | 顔、背中 |
| かゆみ | あることが 多い |
ほとんどない |
マラセチア毛包炎の治し方
マラセチア毛包炎の治療は、症状の程度に応じて外用薬と内服薬を使い分けます。
外用薬
ケトコナゾールクリームなどの外用抗真菌薬による治療が基本となります。通常2~4週間の継続治療が必要です。症状が改善しても、再発予防のため医師の指示通り使用を続けることが重要です。
内服薬
外用薬で改善しない場合や、症状が広範囲に及ぶ場合は抗真菌薬の内服を行います。イトラコナゾールなどを数週間服用することで、体の内側から原因菌を抑制します。重症例では効果的ですが、肝機能への影響を考慮し、定期的に検査を行いながら治療を進めます。かゆみが強い場合は抗ヒスタミン薬を使用することもあります。






