眼瞼黄色腫とは
眼瞼黄色腫(がんけんおうしょくしゅ)は、まぶたにできる黄色い扁平な隆起性病変です。皮膚にコレステロールなどの脂質が蓄積することで生じる良性腫瘍で、特に上まぶたの内側(鼻側)に好発します。
中年以降の女性に多く見られ、左右対称に現れることが多いのが特徴的です。大きさは数mmから数cmまでさまざまで、境界が明瞭な黄色の隆起として認められます。
健康への直接的な害はありませんが、見た目の問題から治療を希望される方が多い疾患です。また、脂質代謝異常症の皮膚症状として現れることもあるため、全身の健康状態を確認する機会にもなります。
眼瞼黄色腫の原因は?
眼瞼黄色腫の原因は、皮膚の真皮内にコレステロールなどの脂質が蓄積することです。
高コレステロール血症や脂質異常症がある方に発症しやすい傾向がありますが、血中脂質が正常な方にも発症することがあります。約半数の患者では、血液検査で脂質異常が認められません。
遺伝的要因も関与しており、家族性高コレステロール血症の方では若年から発症することがあります。また、糖尿病や肝臓疾患、甲状腺機能低下症などの基礎疾患に伴って現れることもあります。
眼瞼黄色腫の症状
眼瞼黄色腫の主な症状は、まぶたに現れる黄色い扁平な隆起です。
上まぶたの内側(目頭側)に最も多く発生し、両側対称に現れることが特徴的です。触ると柔らかく、表面は平滑で、境界がはっきりしています。
痛みやかゆみなどの自覚症状はなく、純粋に見た目の問題となります。時間経過とともに徐々に大きくなったり、数が増えたりすることがあります。稀に下まぶたや他の部位にも現れることがあります。
眼瞼黄色腫は自然治癒する?放置すると?
放置しても自然に治ることはなく、時間とともに大きくなる可能性があります。見た目が気になるだけでなく、稀にまぶたの機能に影響を与えることもあります。
眼瞼黄色腫は自然に消失することはほとんどなく、時間とともに徐々に大きくなる傾向があります。放置しても健康上の問題はありませんが、徐々に大きくなり見た目への影響が増すことがあります。また、稀ではありますが、大きくなりすぎてまぶたの開閉に支障をきたす場合もあります。
脂質異常症のサインである可能性もあるため、一度は医療機関で血液検査を受けることをおすすめします。
眼瞼黄色腫の治療
【保険適用と保険適用外】
眼瞼黄色腫の治療は、大きさや患者様の希望により選択されます。
内服薬【保険適用】
脂質異常症を伴う場合はコレステロールを抑える薬の内服により、眼瞼黄色腫の進行を抑制できることがあります。ただし、既にできている黄色腫を完全に消失させることは困難で、主に進行予防の効果が期待できます。
レーザー治療
【保険適用外】
炭酸ガスレーザーやエルビウムヤグレーザーを用いて、黄色腫を蒸散させる治療法です。局所麻酔下で行い、比較的短時間で処置が可能です。傷跡が目立ちにくく、回復も早いという利点があります。ただし、再発することもあるため、場合によっては複数回の治療が必要になることがあります。
手術
大きな黄色腫や、レーザー治療で改善しない場合は、外科的切除を行います。局所麻酔下で黄色腫を切除し、縫合します。確実に除去できる方法ですが、瞼の皮膚に余裕がない場合は、引きつりを起こすこともあります。






