毛孔性角化症(毛孔性苔癬)とは
毛孔性角化症(毛孔性苔癬)は、毛穴を中心に小さな発疹ができる皮膚疾患です。二の腕や太もも、肩部などに、触るとザラザラとした感触の小さなぶつぶつが多数現れるのが特徴です。
この疾患は「さめ肌」や「とり肌」とも呼ばれ、見た目は赤みを帯びた小さな丘疹として現れます。思春期頃から目立ち始めることが多く、30代頃から徐々に改善する傾向があります。
健康への悪影響はありませんが、見た目を気にされる方が多く、特に若い女性の悩みの種となることがあります。日本人の4人に1人程度に見られる比較的頻度の高い皮膚疾患です。
毛孔性角化症(毛孔性苔癬)の原因は?
毛孔性角化症の明確な原因は解明されていませんが、いくつかの要因が関与していると考えられています。
遺伝的要因
家族内での発症が多く見られることから、遺伝的な体質が大きく関わっています。両親のどちらかに症状がある場合、子どもにも現れる可能性が高くなります。
角質の異常
毛穴の出口付近で角質が厚くなり、毛穴を塞いでしまうことが直接的な原因です。これにより毛穴が盛り上がり、ぶつぶつとした見た目になります。
皮膚の乾燥
肌の乾燥により角質が固くなり、ターンオーバーが乱れて毛穴が詰まりやすくなります。冬場に症状が目立ちやすくなるのはこのためです。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎などの他の皮膚疾患が関連していることもあります。アトピー性皮膚炎の方は皮膚のバリア機能が低下しているため、毛孔性角化症を合併しやすい傾向があります。また、アトピー性皮膚炎による慢性的な皮膚の乾燥も症状を悪化させる要因となります。
毛孔性角化症(毛孔性苔癬)ができやすい部位
- 二の腕の外側
- 太ももの外側
- お尻
- 肩
- 頬
最も多く症状が現れるのは二の腕の外側で、左右対称に発症することがほとんどです。次いで太ももやお尻など、比較的皮脂分泌が少なく、乾燥しやすい部位に見られます。顔面では頬に現れることがあり、赤みを伴うことが多いのが特徴です。
毛孔性角化症(毛孔性苔癬)の症状
- 毛穴に1~2mm程度の小さなぶつぶつができる
- 触るとザラザラとした感触がある
- 赤みや軽いかゆみ
- 冬場に症状が悪化する
- ぶつぶつが長期間(数ヶ月以上)消えない
見た目以外の自覚症状はほとんどありませんが、稀に軽いかゆみを感じる方もいます。
毛孔性角化症(毛孔性苔癬)の治し方
毛孔性角化症は完全に治すことは困難ですが、適切な治療により症状の改善が期待できます。
外用薬(保険適用)
尿素クリームやサリチル酸ワセリンなどで、角質を柔らかくしたり除去したりすることで角質が溜まるのを防ぎます。保湿クリームやローションで乾燥を防ぐのも効果的です。
外用薬(保険適用外)
トレチノインクリームなどのビタミンA誘導体外用薬で角質のターンオーバーを正常化し、毛穴の詰まりを改善します。効果は高いものの、使用初期に赤みや皮むけが生じることがあるため、医師の指導のもとで使用することが重要です。
内服薬(保険適用外)
ビタミンA誘導体の内服薬を使用することもあります。全身の症状改善が期待できますが、副作用の管理が必要なため注意が必要です。
ダーマペン(保険適用外)
極細の針で皮膚に微細な穴を開け、皮膚の再生を促す治療法です。コラーゲンの生成が促進され、肌質の改善とともに症状の軽減が期待できます。複数回の施術が必要ですが、色素沈着の改善にも効果的です。
レーザー治療(保険適用外)
フラクショナルレーザーやヤグレーザーなどを使用し、角質の除去や肌質改善を図ります。即効性があり、数回の治療で目に見える改善が期待できます。ダウンタイムは比較的短く、日常生活への影響も少ない治療法です。






