癜風(でんぷう)

癜風(でんぷう)とは

癜風は、皮膚の常在菌であるマラセチア菌(癜風菌)が増殖することで生じる皮膚疾患です。胸や背中、脇などに茶褐色や白色の斑点が多数現れるのが特徴です。
汗をかきやすい夏場に発症することが多く、見た目の変化は目立ちますが、健康への悪影響はなく、痛みやかゆみもほとんどありません。

癜風の原因は?うつる?

癜風の原因は、皮膚に常在するマラセチア菌(癜風菌)の異常増殖です。このマラセチア菌は誰の皮膚にも存在する常在菌で、通常は害を及ぼしません。
高温多湿な環境、多汗、皮脂分泌の増加などの条件が重なると、マラセチア菌が異常に増殖して癜風を発症します。夏場や運動後など、汗をかきやすい時期に症状が現れやすくなります。

マラセチア菌は誰にでもいる菌であり、他の人にうつることはありません。家族間での感染や、プールや温泉での感染の心配もないため、日常生活に制限はありません。

癜風の症状

  • 胸部、背中、肩に現れる斑点
  • 茶褐色、淡褐色、または白色の色調変化
  • 境界明瞭な円形または楕円形の斑点が癒合して地図状になる

癜風の斑点は、日焼けした肌では白く見え、色白の肌では茶色く見える傾向があります。斑点の表面には細かい鱗屑(フケのようなもの)が付着することがあり、軽くこすると剥がれます。
かゆみや痛みなどの自覚症状はほとんどなく、見た目の変化のみが問題となることが多い疾患です。汗をかきやすい体幹部を中心に広がることが多いです。

癜風を放置すると?

癜風を治療せずに放置すると、色の変化が残ってしまうことがあります。
感染力は弱く他人にうつすことはほとんどありませんが、徐々に範囲が広がることがあります。斑点は体中に広がり、皮膚が黒ずむ色素沈着や皮膚の色が白く抜けてしまう色素脱失が起こります。

これらの色素異常は長い間体に残り、治療後も数ヶ月から年単位で続くことがあります。早期に適切な治療を受けることで、このような色素異常を最小限に抑えることが可能になります。

癜風の治し方

癜風の治療は、抗真菌薬による薬物療法が中心となります。

外用薬

外用薬抗真菌薬の外用薬を1日1~2回、患部に塗布します。イミダゾール系やアリルアミン系の抗真菌薬が使用され、通常2~4週間の治療が必要です。症状が改善しても、指示された期間は治療を継続することが重要です。すぐに中止すると何度も再発を繰り返すことがあります。

内服薬

内服薬範囲が広い場合や外用薬で改善しない場合は、抗真菌薬の内服を行います。イトラコナゾールなどを1~2週間服用することで、広範囲の病変にも効果が期待できます。

皮膚の常在菌が原因であるため、毎年夏になると再発する方も多く見られます。治った後も色素沈着や色素脱失が残ることがありますが、これらは時間とともに徐々に改善していきます。早めの受診と適切な治療により、症状の拡大を防ぐことができます。