わきが

ワキガとは

ワキガとはワキガは正式には腋臭症(えきしゅうしょう)と言い、脇の下から特有の臭いが発生する状態を指します。アポクリン汗腺から分泌される汗が、皮膚の常在菌によって分解されることで独特の臭いが生じます。

日本人の約10~15%がワキガ体質と言われており、遺伝的な要素が強く関わっています。思春期から症状が現れることが多く、男女問わず発症します。ワキガは体質的なものであり、清潔にしていても臭いが発生してしまうため、日常生活や対人関係に悩みを抱える方が少なくありません。しかし、適切な治療により症状の改善が期待できます。

保険適用基準を満たせば、ワキガは保険診療で治療可能です。重症度や日常生活への影響度によって、保険適用での手術治療を受けることができる場合があります。

ワキガの原因は?

ワキガの主な原因は、アポクリン汗腺の数が多いことや、その活動が活発であることにあります。

遺伝的要因

両親のどちらかがワキガ体質の場合、子どもに遺伝する確率は約50%、両親ともにワキガ体質の場合は約80%と言われています。アポクリン汗腺の数や大きさは遺伝により決まるため、家族にワキガの方がいる場合は発症しやすくなります。

ホルモンバランスの影響

思春期になると性ホルモンの分泌が活発になり、アポクリン汗腺の活動が促進されます。そのため、小学校高学年から中学生頃に症状が現れ始めることが多く、成長とともに臭いが強くなる傾向があります。

生活習慣の影響

睡眠不足や運動不足、過度なストレスなどが続くと、体内のホルモンバランスに影響を与えます。このような生活習慣の乱れによって男性ホルモンの分泌が過剰になると、アポクリン汗腺の活動が活発になり、ワキガの症状が強くなる可能性があります。

自分で分かる?どんな匂い?ワキガの症状チェック

ワキガの匂い

ワキガの匂い
  • 鉛筆の芯のような臭い
  • 玉ねぎや長ネギのようなツンとした臭い
  • 香辛料のクミンのようなスパイシーな臭い
  • 雑巾のような生乾きの臭い
  • 酸っぱい発酵臭のような臭い

臭いの感じ方には個人差があり、自分では気づきにくいこともあります。家族や親しい人から指摘されて初めて気づく場合も少なくありません。また、臭いも人それぞれで、複数の臭いが混ざることもあります。

ワキガの症状

ワキガの症状
  • 白い服の脇の部分が黄ばむ
  • 耳垢が湿っていて粘り気がある
  • 汗をかいていない時でも脇から臭いがする
  • 制汗剤を使用してもすぐに臭いが気になる

これらの症状が複数当てはまる場合、ワキガの可能性があります。特に耳垢が湿っている方は、アポクリン汗腺が発達している傾向があるため、ワキガ体質である可能性が高いと言えます。

ワキガの治し方

ワキガの治療法は、症状の程度や患者様の希望に応じて選択されます。

外用薬

塩化アルミニウムを含む制汗剤を使用し、汗の分泌を抑制します。軽度から中等度のワキガに対して有効で、毎日の使用により症状の改善が期待できます。抗菌作用のある外用薬を併用することで、臭いの原因となる細菌の繁殖を抑えることも可能です。

内服薬

発汗を抑える作用のある抗コリン薬を使用します。内服薬のため全身に効果がある一方、口の渇きや眠気、体がほてるなどの副作用が出ることもあります。

ボトックス注射

ボツリヌストキシンを脇の下に注射することで、汗腺の働きを一時的に抑制します。効果は約4~9ヶ月持続し、定期的な治療により症状をコントロールできます。施術時間は両脇で約10分程度と短く、ダウンタイムもほとんどありません。重度の腋窩多汗症を伴う場合は保険適用となることもあります。

ワキガを自分で治す方法は
ある?対策法について

ワキガを完全に自力で治すことは困難ですが、日常生活の工夫により臭いを軽減することは可能です。

清潔を保つ

汗をかいたらすぐに拭き取ることが大切です。濡れタオルや汗拭きシートで脇の下をこまめに拭き、細菌の繁殖を防ぎましょう。外出時は携帯用の汗拭きシートを持ち歩くと便利です。

脇毛の処理

脇毛は汗や細菌が付着しやすく、臭いの原因となります。定期的に処理することで通気性が良くなり、臭いの軽減につながります。

制汗剤・デオドラント剤の活用

市販の制汗剤やデオドラント剤を使用することで、汗の分泌を抑え、消臭効果を得ることができます。朝の清潔な肌に使用すると効果的です。

衣類の選び方

吸水性・速乾性に優れた素材の衣類を選びましょう。汗が衣類に染み込んで臭いが強くなることを防げます。また、こまめに着替えることも重要です。

食事の改善

動物性脂肪や香辛料の多い食事は避け、野菜を多く摂るように心がけましょう。アルコールやカフェインも発汗を促すため、控えめにすることをおすすめします。