口唇炎とは
口唇炎は、唇やその周辺に生じる炎症性の皮膚疾患です。唇の乾燥、ひび割れ、皮むけ、腫れなどの症状が現れ、日常生活に支障をきたすことがあります。季節の変わり目や冬場の乾燥する時期に多く見られ、年齢や性別を問わず発症します。適切な治療とケアにより改善が期待できる疾患です。
口唇炎の種類と原因
口唇炎にはいくつかの種類があり、それぞれ原因が異なります。
接触口唇炎
口紅やリップクリーム、歯磨き粉などの接触によるアレルギー反応や刺激により生じます。金属アレルギーがある方は、食器や楽器の金属部分との接触が原因となることもあります。シャンプーや洗顔料などが付着して発症することもあります。
原因物質を特定し、避けることが重要です。
剥脱性口唇炎
明らかな接触源を特定できない場合につけられることが多い診断です。乾燥や紫外線、口呼吸、脱水症、そのほかの疾患が原因となることもあります。
日光口唇炎
紫外線による刺激が原因で起こる口唇炎です。特に下唇に症状が現れやすく、屋外での活動が多い方に見られます。長期間の紫外線曝露により、前がん病変に移行する可能性もあるため注意が必要です。
肉芽腫性口唇炎
原因不明の慢性炎症により、唇全体が腫れる疾患です。繰り返し再発するうちに硬い浮腫になることがあります。
感染症
カンジダなどの真菌感染などにより口唇炎様の症状を呈することがあります。免疫力が低下している時に発症しやすくなります。
口唇炎の症状
- 唇の乾燥やカサカサ感
- 唇のひび割れや亀裂
- 唇の皮がむける
- 唇の腫れや赤み
- 唇の痛みやヒリヒリ感
症状は唇全体に現れることもあれば、上唇や下唇の一部のみに限局することもあります。重症化すると出血を伴うこともあり、食事や会話に支障をきたす場合があります。
慢性化すると唇が厚くなったり、色素沈着を起こしたりすることもあります。また、二次感染により症状が悪化することもあるため、早期の治療が大切です。
口唇炎とヘルペスの違い
口唇炎と口唇ヘルペスは症状が似ているため混同されやすいですが、異なる疾患です。
口唇炎は唇全体の乾燥や荒れが主な症状で、両側の唇に広がることが多いのに対し、口唇ヘルペスは小さな水疱が集まって現れるのが特徴です。口唇ヘルペスは通常、唇の一部に限局して発症し、ピリピリとした前駆症状の後に水疱が現れます。
また、口唇ヘルペスはウイルス感染症のため他人にうつる可能性がありますが、一般的な口唇炎は感染性ではないことが多いです。口唇ヘルペスは再発を繰り返すことが多く、疲労やストレスが誘因となります。
治療法も異なるため、正確な診断を受けることが重要です。水疱形成や強い痛みがある場合は、口唇ヘルペスの可能性を考慮する必要があります。
口唇炎の治し方
口唇炎の治療は、原因や症状の程度に応じて行います。
外用薬
保湿剤やワセリンを使用して唇の乾燥を防ぎます。炎症が強い場合はステロイド外用薬を短期間使用し、症状の改善を図ります。感染を伴う場合は抗菌薬や抗真菌薬の外用薬を併用することもあります。症状に応じて適切な薬剤を選択し、医師の指示に従って使用することが大切です。
内服薬
ビタミンB2、B6などのビタミン剤を内服し、皮膚や粘膜の健康維持を図ります。栄養状態の改善も重要であり、バランスの良い食事を心がけることも治療の一環となります。
口唇炎が1ヶ月以上
治らない…
口唇炎が1ヶ月以上続く場合は、単純な口唇炎ではない可能性があるため、速やかに皮膚科を受診することが重要です。
慢性化した口唇炎は、アレルギーや全身疾患が隠れている可能性があります。また、稀ではありますが、前がん病変や悪性腫瘍の初期症状として口唇炎様の症状が現れることもあります。
長期間改善しない場合は、パッチテストによるアレルギー検査や、必要に応じて生検などの精密検査を行うことがあります。原因を特定し、適切な治療を受けることで、症状の改善が期待できます。
自己判断での治療を続けるのではなく、専門医による診断と治療を受けることをおすすめします。






