フケ症(脂漏性皮膚炎)

フケ症(脂漏性皮膚炎)とは

フケ症とは白い米ぬか状の角質片が頭皮から多量に剥がれ落ちる状態を指します。頭皮の新陳代謝により不要となった角質細胞が剥がれたものがフケですが、量が多くなり日常生活で目につくようになるとフケ症と呼ばれます。
フケ症の多くは脂漏性皮膚炎の方に認められます。クシやブラシで髪をとくとフケが落ちる、服の肩部分にフケが積もる、朝起きると枕にフケが散らばっている、といった状態が見られます。
頭皮に常在するマラセチアという菌が関係していますが、これは誰もが有している常在菌のため、フケ症が人から人にうつることはありません。多くはかゆみを伴い、頭皮をひっかくことでさらにフケが飛び、炎症が起こったり、脱毛に至ったりするケースも見られます。

フケ症(脂漏性皮膚炎)の
原因は?

フケ症にはいくつかの要因が関わっています。

マラセチア菌の増殖

皮膚の常在菌であるマラセチアが皮脂を食べて増殖すると、遊離脂肪酸が産生され頭皮が刺激されます。マラセチアが異常に増殖するリスク因子として、ビタミンB2やB6の不足、睡眠不足、生活リズムの乱れ、ストレス、頭皮ケアの不足などがあります。

ホルモンの影響

皮脂の分泌を促すことが発症に影響すると言われており、アンドロゲンという男性ホルモンが皮脂の増加に影響すると考えられています。

頭皮の乾燥

頭皮が乾燥すると角質が剥がれやすくなります。シャンプーやコンディショナー、整髪料が頭皮に合っていない、洗いすぎ、冬の季節などが乾燥を引き起こすリスク因子となります。

フケ症(脂漏性皮膚炎)の
症状

フケ症(脂漏性皮膚炎)の症状
  • 白い米ぬか状のようなフケが多くなり、かゆみを伴う
  • 頭を掻くとフケが落ちてくる
  • 頭皮に赤みが現れる
  • 枕の周囲にフケが落ちている
  • 服の肩の部分にフケが目立つ

症状は軽度から重度まであり、軽度では髪をとかした際にパラパラと肩に落ちる程度ですが、重度になると枕元や部屋の中で目立つほどフケが落ちるようになります。
慢性的なかゆみによって頭皮を繰り返し掻くことで炎症が起き、脱毛することもあります。

フケ症(脂漏性皮膚炎)の
治し方~皮膚科に行くべき?~

フケ症は軽度であればセルフケアで改善することがあり、基本的に急を要する疾患ではないため、まずは対策を講じながら様子を見ることもできます。しかし、フケやかゆみで困っており早く治したい、対策をしたが治らない、他にも症状があるという場合には、皮膚科の受診をおすすめします。

皮膚科での治療は薬物療法が中心となります。マラセチアに有効な抗真菌薬やステロイドの外用薬を使用します。かゆみに対しては抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬などの内服が有効です。
皮膚の新陳代謝の促進を目的として、ビタミンB2やビタミンB6の内服薬を使用することもあります。頭皮のバリア機能が低下している場合には、ビタミンB群やビオチンといった内服薬を使用します。

フケ症(脂漏性皮膚炎)の
対処法・セルフケア

フケ症(脂漏性皮膚炎)の対処法・セルフケアフケ症は、日常のセルフケアで改善することも少なくありません。

洗髪時には水温設定をぬるめにして熱い湯をかけず、頭皮に爪を立てたり指先で強く擦ったりせず、泡で優しく洗います。指の腹を軽く当ててマッサージするように洗いましょう。シャンプーなどは低刺激のものに替え、洗い流す際には洗い残しがないようしっかり流します。
洗髪後はタオルで髪の水気をしっかりと拭き取り、ドライヤーで乾かしましょう。濡れたまま長く放置したり、そのまま寝てしまうと、マラセチアの過剰な繁殖を引き起こすため、気をつけましょう。

整髪料はできるだけ使わず、使用する場合は低刺激のものを選び、頭皮に付着しないよう気をつけ、使用した場合は、お風呂でしっかり落としましょう。

また規則正しい生活、十分な睡眠、バランスの良い食事を心がけましょう。お酒の飲み過ぎを避け、ストレスを溜めないよう運動や趣味などで気分転換を図ることも改善につながります。