シラミ、頭ジラミとは
シラミは人間の体に寄生する小さな害虫で、皮膚から血を吸って生活します。肉眼でかろうじて確認できる程度の大きさで、翼を持たない小さな昆虫です。
特に保育園や幼稚園、小学校など子どもが集まる場所では、アタマジラミの集団発生がよく見られます。成虫の寿命は約1ヶ月で、その間に50~150個の卵を髪に産み付けて増殖します。60℃以上の熱に5分以上さらされると死滅し、人から離れると吸血できないため2~3日で餓死します。卵は髪にセメントのような物質でしっかりと固定されており、指でつまんでも簡単には取れないのが特徴で、これがフケとの大きな違いです。
シラミから病気が感染することはありませんが、激しいかゆみによって掻きむしり、皮膚に炎症を起こすことがあります。人に寄生するシラミは他の動物には寄生せず、逆に動物のシラミが人につくこともありません。
シラミ、頭ジラミの種類と
原因~どこからうつる?~
人に寄生するシラミには3つの種類が存在し、それぞれ寄生する場所が異なります。いずれのシラミも、プールやお風呂の水中では毛から落ちないよう強くしがみつくため、水を介した感染はほとんどありません。感染の主な原因は、脱衣所での衣類の接触やタオル、クシなどの共用です。
アタマジラミ
体長2~4mmで、主に頭髪に寄生します。髪の毛同士が触れ合うことで感染が広がり、幼児や小学校低学年の子どもに多く見られます。頭をくっつけて遊ぶ機会が多い年齢で感染率が高くなる傾向があります。
清潔にしていても寄生されることがあり、毎日お風呂に入って髪を洗っていても感染を完全に防ぐことはできません。髪の接触以外にも、帽子やブラシ、タオルなどの共用によっても感染が広がります。
ケジラミ
体長1~2mmで、主に陰部の毛に寄生しますが、稀に腋毛や胸毛、まつ毛、眉毛にも見られることがあります。主に性的接触によって感染しますが、親から乳幼児への感染も報告されています。
コロモジラミ
体長2~4 mmで、衣服の縫い目などに潜んで生活します。体や衣類の接触によって感染が広がり、衣類の交換頻度が少ない環境で発生しやすくなります。日本では戦後の混乱期以降ほとんど見られませんでしたが、1992年以降、徐々に増加傾向にあります。
シラミがいるかどうかを
見分けるには?
チェック方法について
シラミの成虫は動きが素早く、髪をかき分けて探してもなかなか見つからないため、卵を探すことが重要な目印となります。
卵は直径約0.5mmの白い楕円形で、髪の毛の根元付近にしっかりと付着しています。特に側頭部、後頭部、耳の後ろに多く見られます。フケと違い、指でつまんで引っ張ってもなかなか動きません。
チェック方法として、明るい場所で髪を細かく分けて観察します。目の細かい専用のクシを使い、白い紙の上で髪をとかすと、落ちてくるものを確認できます。濡れた髪にトリートメントをつけてからクシを通すと、より効果的に発見できます。
よく間違えやすいのがヘアキャストです。これは毛包の一部が髪を引っ張った際に千切れて髪に付着したもので、短いストローのような筒状をしています。手で挟むと簡単に動かせるため、固着している卵とは区別できます。
家族に後頭部や耳の後ろをチェックしてもらったり、スマートフォンのカメラを使って自分で確認したりすることも有効です。7~10日程度で卵が孵化するため、定期的なチェックが大切です。
シラミ、頭ジラミの症状
- 頭皮から吸血された部分に激しいかゆみが生じる
- 特に耳の後ろや襟足、後頭部にかゆみが集中する
- 夜間や汗をかいた後にかゆみが強くなる
- 掻きむしることで頭皮に湿疹や赤み、かさぶたができる
- 髪の根元に白い卵が連なるように付着している
シラミは成虫も幼虫も一生を通じて吸血するため、寄生数が増えるとかゆみも強くなります。かゆみが出始めた頃にはすでに多くのシラミが寄生している状態であることが多く、ストレスによる精神的な負担になることもあります。
掻きすぎによって皮膚を傷つけると、そこから細菌が侵入して二次感染を起こすリスクもあります。子どもが何度も頭を掻いている様子が見られたら、シラミの可能性を疑い、早めの対処が必要です。
初期段階では自覚症状がないこともあるため、定期的な観察が重要です。同居家族や学校のクラスメイトに同様の症状がある場合は、特に注意深くチェックすることが大切です。
シラミ、頭ジラミの治し方
シラミの種類によって効果的なアプローチが異なります。
アタマジラミの治療
シラミ駆除専用のシャンプーやパウダー、ローションが基本的な治療薬となります。髪全体に薬剤をなじませ、5~10分程度放置してから洗い流します。卵から新しく孵化するシラミも駆除するため、7~10日間継続して使用します。
薬剤に耐性を持つシラミも報告されているため、効果が見られない場合は別の成分の薬剤に切り替える場合もあります。目の細かい専用のクシを使用して、髪の根元から丁寧に髪をとかし、物理的に卵や成虫を除去する方法も併用します。
治療期間中は、タオルや寝具、ブラシなどを他の人と共用しないことが重要です。使用したものは60℃以上のお湯で洗濯するか、乾燥機で熱処理することで再感染を防げます。
ケジラミの治療
アタマジラミと同様に専用の薬剤を使用しますが、陰部への使用となるため慎重に行います。パートナーも同時に治療することが重要で、片方だけの治療では再感染のリスクが高まります。剃毛による物理的な除去も選択肢の1つです。
コロモジラミの治療
人体への薬剤使用は通常必要なく、着用していた衣類や下着を破棄し、新しいものに交換します。全身をしっかりと洗い、清潔な衣服に着替えることが基本です。寝具類は60℃以上の熱にさらすことで効果的に駆除できます。






