掌蹠膿疱症

掌蹠膿疱症とは

掌蹠膿疱症とは掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)は、手のひらと足の裏に小さな膿疱が繰り返し現れる皮膚の病気です。膿疱の中身は無菌で、細菌感染によるものではありません。
膿疱は、最初に小さな水疱として現れ、次第に黄色く濁った膿疱となります。その後、茶色いかさぶたになって剥がれ落ちますが、また新しい膿疱ができるという周期を繰り返します。中年期に発症することが多く、症状が長く続く特徴があります。

病変部の皮膚は次第に厚くなり、赤みを帯びて角質が剥がれやすくなります。症状の程度には個人差があり、軽症から重症まで幅広く見られます。

掌蹠膿疱症の原因は?
うつる?

掌蹠膿疱症の根本的な原因はまだ完全には解明されていませんが、いくつかの要因が関与していることが分かっています。
喫煙との関連が強く指摘されており、喫煙者に多く見られる傾向があります。タバコに含まれる成分が症状の発生や悪化に関わっていると考えられています。

病巣感染も重要な要因の1つです。扁桃腺炎、歯周病、慢性副鼻腔炎などの慢性感染症が存在すると、その部位から体内に入る細菌成分に対する免疫反応として、手足に症状が現れることがあります。
歯科金属や食品に含まれる金属に対するアレルギー反応が原因となるケースもあります。膿疱の中に細菌やウイルスはいないため、他人への感染はありません。接触によってうつる心配はないので、通常の生活に制限はありません。

掌蹠膿疱症の症状

  • 手のひらや足の裏に直径2~4mm程度の小水疱や膿疱が多発する
  • 膿疱は黄白色で、周囲に赤みを伴うことが多い
  • かゆみを感じることがある
  • 皮膚が厚くなり、亀裂が生じて痛むことがある
  • 古い膿疱は褐色のかさぶたとなって剥がれる

手のひらでは母指球や小指球、足の裏では土踏まずやかかと部に好発します。爪にも変化が現れることがあり、爪が厚くなったり、点状の凹みができることがあります。 掌蹠膿疱症性骨関節炎と呼ばれる合併症では、胸鎖肋関節、脊椎、仙腸関節などに痛みや腫れが生じることがあります。この関節症状は掌蹠膿疱症患者様の約10%に見られます。

掌蹠膿疱症の検査

掌蹠膿疱症の診断は、主に皮膚の状態を詳しく観察することで行います。特徴的な症状から診断できることが多いですが、他の疾患との鑑別のため、いくつかの検査を行うことがあります。

血液検査

血液検査掌蹠膿疱症性骨関節炎を合併している場合、関節リウマチとの鑑別が必要となるため血液検査を実施します。炎症反応や自己抗体の有無を確認し、適切な診断につなげます。

パッチテスト

金属アレルギーの関与を調べるため、パッチテストを行うことがあります。金属試薬を皮膚に貼付し、アレルギー反応の有無を確認します。陽性反応が出た場合、歯科金属の除去などを検討します。

掌蹠膿疱症の治し方

掌蹠膿疱症の治療は、局所療法と全身療法を組み合わせて行います。原因となる要因がある場合は、その除去も並行して進めます。

外用薬(塗り薬)

ステロイド外用薬で炎症を抑え、活性型ビタミンD3外用薬で皮膚の過剰な増殖を調整します。両者を併用することで相乗効果が期待できます。ODT(密封療法)を行うことで、薬剤の浸透性を高めることがあります。

内服薬

かゆみが強い場合は、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬を使用します。皮膚の過剰な増殖を抑えるビタミンA誘導体(エトレチナート)や、免疫抑制剤(シクロスポリン)を用いることもあります。
ビタミン欠乏が疑われる場合は、ビオチン内服などのビタミン補充療法を行います。近年では掌蹠膿疱症に対する新しい内服薬も登場しており、症状に応じて適切な薬剤を選択します。

光線(紫外線)療法

エキシマライトやナローバンドUVBなどの紫外線照射により、過剰な免疫反応を抑制します。週1~2回程度の照射を継続することで、徐々に症状の改善が期待できます。

生物学的製剤(注射薬)

従来の治療で改善が見られない重症の方には、生物学的製剤による治療を検討します。炎症を引き起こす物質の働きを抑える薬剤で、高い効果が期待できます。

掌蹠膿疱症になったら
やってはいけないこと

掌蹠膿疱症になったらやってはいけないこと掌蹠膿疱症の症状を悪化させる要因として、喫煙が大きく関わっています。喫煙は症状の悪化につながるため、禁煙が推奨されます。
水膨れや膿疱を自分でつぶしたり、かさぶたを無理にはがしたりすることは避けましょう。これらの行為は症状を悪化させる原因となります。
金属アレルギーが関与している場合は、原因となる金属との接触を避ける必要があります。
症状の改善のためには、医師の指示に従って治療を継続することが重要です。